俳優・武田鉄矢さんの好き嫌いでかなり評価が分かれそうだが、これが楽しめた。
機会があれば、ぜひご覧いただきたい佳作だ。
2024年1月25日追記
1990年代後半、金八先生のイメージはありつつも、フジテレビ『101回目のプロポーズ』(1991年)の影響か。武田鉄矢氏は、当時なぜか好き嫌いが極端に分かれていて、同じくフジテレビ、天海祐希主演『BOSS』(2009年)で強烈な悪役を演じるまで評価が安定していなかった時期があったと記憶していますし、実際にそんな批評を読んだ記憶もあり。
まずタイトル『プロゴルファー織部金次郎4 シャンク シャンク シャンク』にある「シャンク シャンク シャンク」って気になりませんか?
実はこれゴルフ用語で、ゴルフやってない人にはチンプンカンプン。
シャンクとは「玉を打ちそこねて玉が横に飛んでしまうこと」だそうで、これが語源となってゴルフ業界では〝寄り道〟を意味するそうだ。
ほんで、この〝寄り道〟というのが物語のカギになっている。
まるでシルヴェスター・スタローン(ロッキー)ような不器用さ
主人公である織部金次郎(武田鉄矢)は、25年間でたった1度しか優勝したことがないというダメなゴルファー。
とはいえ、たまに魅せる天才的なバンカーショットを仲間たちは知っていたりする。
そこに目をつけたのが、ゴルフメーカー宣伝部。
そんな彼をさっそくコマーシャルに起用したものの、肝心の金次郎は戸惑うばかり……。
とにかくドンクサイ。
詳細はあれですが、このあたりの雰囲気は、まんまコマーシャルに起用されたシルヴェスター・スタローンの『ロッキー2』。
そのぶん映画としては安心して見られます。
シャンク = 寄り道が人生をつくる
そのなか〝シャンク〟というコトバの意味を知ると、物語のなかで語られるいろんな複線やキーワードがうまく絡まってきて、オススメしたい映画タイトルになってしまった。
玉を打ちそこねて玉が横に飛んでしまうことは、人生にもある。
思ったように、人生はいかない。
でも、そんな〝寄り道〟をどう楽しんでいくか。
どう人生に活かしていくか。
そんなメッセージを読み取ることもできそうな物語だった。
その他の注目ポイント – 財前直見に絶対ホレる
そのなか、林隆三と財前直見が良すぎ
中盤以降は、ちょっと下町人情ネタがくどいけど、金次郎の友人として出てくる林隆三はかなりいい味出しまくり。
財前直見の役柄もやたらと良くて、このシリーズを見てファンになる人がいるのもうなずける感じ。
阿部寛も実にいい味出しているんだよ。
ちょっと泣かせる太平洋戦争時の特攻隊エピソードなどもあって、深読みするとかなり侮れないと思わせる展開。
あくまでも速攻レビューなので、
これはまたちゃんと見て、書きたい。
■ プロデューサー:小坂一雄
■ 原作・監督・脚本:武田鉄矢
■ 撮影:矢田行男
■ 編集:井上秀明
■ 出演:武田鉄矢、財前直見、高橋ひとみ、林隆三、阿部寛/他
■ 公開:1997年2月15日(土)


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